死ぬことについて
天国で暮らしたい。
窓辺に差し込む暖かい陽光の中でフェレットと微睡んだあの冬の昼のことをおもう。
香ばしいにおいのする身体が呼吸に合わせて上下するのを眺めていた。
あまりにも小さすぎる手の温度を覚えてる。
薄く開いた目は輝いていた。
永遠にあの時間が続いてほしかった。
死にたいと思う。
仕事柄、他人の死をいつも間近でみているけど(死んでいる人間は動かないし、話さないので接しやすいから好きだよ。)自分自身の死にたいと思う気持ちは消えないのだった。普通はよりよく生きようと思うのだろうか。
死への憧れはいつも遠ざかったり近づいたりしている。物事が思い通りにいかないときや、世間一般の人間のように振る舞えない自分に気付いたとき、決して叶うことのないことを願ってしまうとき、ものすごく疲れているとき。
人間、何事も思い通りにいけば死にたいだなんて思わないものさ。
たましいの抜けたあのこの肉体を加工してもらった。そしてまた家に戻ってきたのだけど、ただの置物になってしまった。
悲しくてやりきれない。
生きていく希望がもてない。
天国で暮らしたい。
幸せになりたい。